仮面家族ごっこ

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登場人物

配役
兄:
妹:

『』内は演技中です。

厨二厨の読み方はご自由に。

仮面家族ごっこ

兄『深き眠りより目覚めよ、我が同胞はらからよ。汝なれの贄が待っている』

妹『贄が妾を待っていると? それはお主が用意したものか。父と母はどうした』

兄『未だ戦いに明け暮れている』

妹『終わらぬ戦いなどないさ』

兄『冷めた贄ほど不味いものはない。

疾とく目覚めぬと、我が一撃にて再び深淵へと叩き落とすぞ』

妹『ふん、その必要はない。陽光が胸の内の霧を晴らしてくれたわ』

兄『ならば、目覚めよ。始まりの時が近い』

妹『そうか、もう終わりの時が近いのか』

兄『我は先に行く。遅れるでないぞ、我が妹よ』

妹『あぁ、魂を清めた後のち、贄を貪りに行こう』

兄『承知』

​ 

妹『ほう、流石、妾の片割れ。これほどの贄を用意するとは』

兄『御託はいい。さっさと喰らえ。刻に乗り遅れる』

妹『そう急せくな。妾とお主なら刻を越えることなど、造作もなきこと』

兄『また比翼の双脚ひよくのそうきゃくを使えと?』

妹『妾に触れることができるのだ。光栄に思うがいい』

兄『戯たわけ、疾く贄を貪れ』

妹『言われずとも』

​ 

兄『戦の前にそのような顔をしてどうした』

妹『一体いつになればこの戦は終わるのだろうな』

兄『なに、そう遠い未来ではない。星が落ちる頃には、全てが終焉を迎える』

妹『なるほど、紅星こうせいが落ちる頃か』

兄『蒼星そうせいを道連れにな』

妹『面白い。ならば、行こう。ラグナロクへ』

兄『あぁ、全てを終わらせるために』

妹『全てを始めるために』

SE:ガチャ

​ 

兄「んー、今回の設定はイマイチだったんじゃないか?」

妹「そうだね。自分でも時々何を言ってるのかわからない時があったし」

兄「んじゃ、また歩きながら明日の設定を決めるか」

妹「そだね。っていうか、走りながらじゃないとまずいかも」

兄「確かに。んじゃ、比翼の双脚を使うとしますか」

妹「あんまり早く走らないでよね。私、兄さんみたいに早く走れないんだから」

兄「置いて行かれるよりはましだろ?」

​ 

妹:翌朝

兄『おら、さっさと起きろ、バンビーナ。テメェは舞台に遅刻する趣味でもあんのか?』

妹『そう急かすんじゃねえよ。終末のラッパが吹かれたわけじゃあるまいし』

兄『そいつが聞こえた時にゃ、テメェの舞台はエンドロールの真っ最中だ』

妹『ヘイ、ブラザー。今日のブレイクファーストはなんだい?』

兄『トーストにピーナッツバター、それとコーヒーだな』

妹『またかよ。いい加減おふくろのメシが恋しいぜ』

兄『そう愚痴んなよ。おふくろも親父も必死に俺達のために生きてんだ』

妹『あぁ、あぁ、そうだな。ありがてーな。ありがたくって涙が出てくる』

兄『なら、帰ってきた時に言ってやるんだな。産んでくれてありがとうってよ』

妹『こんなクソダメみたいな世界に産んでくれてありがとう、ファック』

兄『そんだけ口が聞けりゃ十分だ。俺は先に行ってるぜ』

妹『まーたそんな泥水みたいなもんを啜ってんのか』

兄『この苦味がわからないとは、オムツがまだとれてないようだな、ベイビー』

妹『生憎と苦味を味わうってんなら、人生だけで結構だ』

兄『違いねえ』

妹『あーあ、さっさとこんな人生終わらしちまいたいよ』

兄『そうやって言えるのは、生きてるからこそだぜ?

人生を謳歌しろよ。嗚呼、素晴らしき哉、人生ってな』

妹『頭がお花畑で出来てるヴァージンじゃねえんでな』

兄「は!? お前、処女だろ?」

妹「ちょっと、いきなり素に戻らないでよ」

兄「いや、お前がいきなり処女じゃないとか言うから」

妹「設定に決まってるじゃん。馬鹿なの?」

兄「お、おう、そうか」

妹「ったく」

兄「なあ」

妹「なに?」

兄「ほんとに処女だよな?」

妹『額で煙草を吸うコツを教えてやろうか?』

兄『勘弁してくれ。俺はまだ人生を楽しみきってねえんだ』

妹「童貞だもんね?」

兄「ばっ!? お前な!!」

妹「ひひひー、やられたらやり返す。それが私のジャスティス」

兄「悪かったって。ほら、さっさとメシ食わないと遅刻するぞ」

妹「おっと、いけないいけない」

兄「んじゃ、明日はどうするかな」

妹「どうしよっか」

兄「最近、俺が起こしに行くばっかだったし、明日は逆にするか」

妹「りょーかーい」

​ 

兄:翌朝

妹『お兄ちゃん、起きてよー。朝だよ? 早く起きないとイタズラしちゃうぞ』

兄『もう高校生なんだから、兄妹だからって勝手に部屋に入ってくるなよ』

妹『えー、いいじゃん別にー。それとも、お兄ちゃんは妹に欲情しちゃうようなお兄ちゃんなの?』

兄『ばーか。そういうことはもっと成長してから言え』

妹『あ!? 今、どこを見て言った!!』

兄『どこだろうな?』

妹『もう、馬鹿!! 朝ごはん抜きにするよ!?』

兄『それは勘弁してくれ。謝るからさ』

妹『じゃあ、今度一緒にケーキ食べに行こ? もちろん、お兄ちゃんのおごりでね。

それでチャラにしてあげる』

兄『はいはい、それくらいお安い御用だ』

妹『やった、約束だからね。それじゃ、早く起きてきてね、お兄ちゃん』

兄『ふわぁ、眠い……』

妹『だらしないなぁ、もう。はい、コーヒー』

兄『ありがと。あぁ、今日は先輩と図書館で勉強してくるから少し遅くなるよ』

妹『またあの先輩と一緒にお勉強するの?』

兄『ん? そうだけど? って、なんだよ、その顔は』

妹『私、あの先輩好きじゃない』

兄『前にあった時はお姉ちゃんが出来たみたいって喜んでたじゃないか』

妹『そうだけど……。お兄ちゃんを見る目が私と同じだったもん……(小声)』

兄『なにか言ったか?』

妹『ううん、なんでもないよ。ねえ、お兄ちゃん』

兄『なんだ?』

妹『お兄ちゃんはいつまでたっても、私のお兄ちゃんだよね?』

兄『なに、馬鹿なこと言ってるんだ。当たり前だろ』

妹『えへへ、そうだよね。当たり前だよね』

兄『何ニヤついてんだよ』

妹『そんなことないですよーだ』

兄『それじゃ行くか』

妹『あ、お兄ちゃんネクタイ曲がってる』

兄『あぁ、悪い』

妹『こうしてると新婚さんみたいに見えるかな?』

兄『あほ』

妹『えへへ。これでよしっと。うん、かっこよくなった』

兄『妹に言われてもなぁ……』

妹『もう! お兄ちゃんのばーか!!』

兄『あ、ちょっと待てよ!』

妹「……ないね、これは」

兄「ないな……」

妹「っていうか先輩って誰? 設定になかったよね?」

兄「黒髪ロングのおしとやかな三年の先輩。ちなみに、生徒会長」

妹「生徒会長、男じゃん」

兄「設定だから別にいいだろ」

妹「っていうか、兄さん、ノリノリだったよね?」

兄「久しぶりにお前にお兄ちゃんって言われたからな」

妹「なに、嬉しかったの?」

兄「ぶっちゃけ嬉しかった」

妹「へえ。それじゃ、たまに呼んであげるね、『お兄ちゃん♪』」

兄「外ではやめてくれ……」

​ 

妹:翌朝

兄「起きろー。朝だぞー」

妹「あーい……、起きてますよぉ……」

兄「完全にまだ寝てるだろ。ほら、布団ひっぺがすぞ」

妹「やーめーてー、死んじゃうー」

兄「だったら、早く起きろ。朝飯が冷めるだろ?」

妹「んぅー、お母さんとお父さんは?」

兄「まだ仕事。最近、忙しいみたいだな」

妹「あ、お母さんからメールきてる」

兄「なんて?」

妹「えーと、『我が愛する仔達、今宵こそ楽しい宴を迎えましょう』だって」

兄「ふーん、あ、こっちも親父からメール来た」

妹「なんて?」

兄「んー、『俺、ここから帰ったら、家族で温かい夕食を食べるんだ』だって」

妹「フラグじゃん!」

兄「これ、帰ってくるのか帰ってこないのかわかんないな」

妹「まあ、お父さんならフラグくらい折ってくれるでしょ」

兄「それじゃ今日は腕によりをかけて料理しないとな」

妹「あ、私も手伝うよ」

兄「にしても、仮面家族ごっこ飽きないな」

妹「飽きないね」

兄「さて、それじゃ明日の設定はどうしよっか?」

​ 

おわり

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