春夏秋冬♪ 百合沢姉妹 第二話

目次

登場人物

百合沢春奈(ゆりさわ はるな)

 百合沢家の長女。大学生。おっとりした天然お姉さん。
 家庭的で、いつもにこにこしている。ふんわりウェーブ。

百合沢夏美(ゆりさわ なつみ)

 百合沢家の次女。高校生。
 身長が高く、すらりとしたスタイル。
 後輩の女の子から人気がある王子様女子。ショート。

百合沢秋葉(ゆりさわ あきは)

 百合沢家の三女。中学生。見た目普通の女の子。
 ただし、女の子が大好き。頭の中でよく絶叫している。

百合沢冬子(ゆりさわ とうこ)

 百合沢家の四女。小学生。感情表現が苦手で口下手。
 前髪で目元を隠し、赤面症である。かなりの美少女。

今作の配役表
百合沢夏美(表記:夏):
百合沢秋葉(表記:秋):

春夏秋冬♪ 百合沢姉妹 第二話

夏「そうなんだ、それはしょうがないね。ううん、いいよ。怒ったりしてないって。
うん、わかった。それじゃあ、また誘うから」(電話中)

秋「ふわぁ……、お寝坊してもいい日曜日ぃ……。お休みって素晴らしい……」

夏「それじゃ、またね。お、秋、ようやく起きてきたね」

秋「おはよぉ、夏姉ぇ……」

夏「……ふむ。秋? 今日、ヒマ?」

秋「え? 特に予定とかはないけど、なに?」

夏「今日、アタシとデートしない?」

 

夏:春夏秋冬♪ 百合沢姉妹 第二話 夏×秋(ナツカケルアキ)

  

繁華街にて

秋「ん、ん~? どうしてこうなった?」

夏「本当なら友達とデートにいく予定だったんだけど、その子が急に来れなくなってね。ヒマになったから、久しぶりに妹とデートでもしようかなって」

秋「……夏姉って毎週デートしてるよね。それも色んな人と」

夏「ほら、アタシってもてるから」

秋「それも女の子ばっかりだよね?」

夏「女の子って可愛いよね」

秋「ん~? 理由になっているような、なっていないような……」

夏「まあまあ、あまり難しく考えるようなことじゃないって。
さあ、今日は秋が前に見たがってた映画を見に行こうかなって思ってるんだけど、どう?」

秋「いいの?」

夏「もちろん。それも特別にアタシのおごりで」

秋「お姉さま、大好き!」

夏「アタシも秋のこと好きだよ」

秋「……、夏姉ってそういうことナチュラルに言うよね」

夏「ん? 照れてんの?」

秋「べ、別に照れてなんかないってば」

夏「くすくす、やっぱり、秋って可愛いよね」

秋「もう、映画見に行くんでしょ!」

夏「はいはい」

秋:あ~、もう!! ほんとそういうことさらって言われるとドキドキするんだってば!!
夏姉って背が高くてすらっとしてるし、髪も短いし、性格もこういう感じだから、
王子さまって感じでやばいんだってば!!
そりゃ、モテるよ。女の子に……。

夏「ん~、秋、携帯で上映時間調べてみたけど、まだ時間があるみたい」

秋「じゃあ、どこかで時間つぶさないとね」

夏「それじゃあ、久しぶりに姉妹でプリクラでも撮りに行こう。
それで映画を見て、その後にカフェで感想とか言いあったりして帰る。どう?」

秋「素晴らしいデートプランです、お姉さま」

夏「それじゃ、いこっか。秋」(秋葉の手を握る)

秋「な、なな、夏姉? なんで手をつなぐの?」

夏「ん? いやだったかな?」

秋「い、いやっていうか、その、……照れる」

夏「いやじゃないならいいよね。さあ、行こう」

秋:だから、そういうことされるとやばいんだってば!!
妹を萌え殺す気ですか、お姉さまぁぁぁぁ!!

 

ゲームセンターにて

夏「秋はゲームセンターによく来るの?」

秋「友達と時々来るくらいかなぁ。夏姉は?」

夏「アタシは結構来てるよ。ほら、デートの記念にプリクラ撮ったり」

秋「あー、なるほど。……ねぇ、夏姉」

夏「なに?」

秋「……キスプリとか、撮ってないよね……?」

夏「ほっぺたとかにならあるよ」

秋「……あるんだ」

夏「秋もしてほしい?」

秋「っ、いいってば!」

夏「本当に?」

秋「ほ、本当にいいです!」

夏「はははは。ほら、プリクラはこっちだよ」

秋「うぅー、夏姉、私のことからかって楽しい?」

夏「うん、とっても」

秋「もう!」

夏「秋葉は可愛いからね」

秋「だから、そういうことさらっと言うの禁止!」

夏「ほら、お嬢様。こちらへどうぞ」

秋「~~~っ! 夏姉!」

夏「ふふ、ほら、入って入って」

秋「うぅぅ……」

夏「秋とプリクラ撮るのも久しぶりだね」

秋「2年くらい前にみんなで撮って以来じゃないかな?」

夏「あぁ、懐かしいね。とこを抱っこして撮ったのを覚えてるよ」

秋「フレームはこれでいい?」

夏「秋にまかせるよ」

秋「じゃあ、まずはこれで撮ってみよっかな」

夏「どんな感じにする?」

秋「じゃあ、夏姉がいつもデートでほかの女の子にしてる感じで」

夏「おや? からかった仕返しかな?」

秋「へへへ」

夏「いいとも。さあ、秋、こっちへおいで」

秋「え? ちょちょちょ、なんで後ろから抱きしめるの!?」

夏「いつもしてる感じにしてほしいんでしょう?」

秋:ふおおおぉぉぉぉぉ!!!! 後ろからぎゅっと抱きしめられるのやばすぎぃぃぃぃ!!
夏姉、こ、こんなこといつもしてんの!?
あ、だめ、鼻血が……。

夏「秋、そのまま顔をこっちに……」

秋:きゃああああぁぁぁぁ!! 顎クイって、顔近っ! え? これ、もしかしてキスされる?
夏姉、イケメンすぎ! ほんと王子様みたいなんだけど!?

夏「まずは1枚目っと。じゃあ、次は前からかな?」

秋「え? あ? その、ちょっと待って」

夏「待たない。ほら、秋、おいで」

秋:あぁぁぁああぁん、行きましゅぅ、お姉さまぁ……。力いっぱい抱きしめてくださいぃ……。
んはあぁぁぁぁ、春姉は甘いにおいしてたけど、夏姉は柑橘系のすっきりしたにほひぃ……。

夏「秋はちっちゃくて可愛いね」

秋:だから、そこで笑うの卑怯だってばぁぁぁぁ!! ほんと照れるんだってばぁぁぁ!!

夏「秋、目をつむって……」

秋「ぴっ!?」

夏「ほら……」

秋:あ、あ、あ、あ、だめ、鼻血でそう……。魂まででちゃいそう……。

夏「よし、2枚目も取れたね。次はどうしようかな」

秋:何枚撮るのおおおおぉぉぉぉぉ!!! 萌え死んじゃううううぅぅぅ!!

 

映画館にて

秋「はぁはぁ……」

夏「大丈夫? 秋」

秋「夏姉があんなことするからじゃんかぁ……」

夏「まだ秋葉には早かったかな?」

秋「早かったかな? じゃないってば。夏姉、ほんとにいつもあんな風に撮ってるの?」

夏「うーん、秋葉だから、かな?」

秋「私だからってなに!?」

夏「ほら、秋の反応が可愛くってさ」

秋「うぅぅぅ……」

夏「さて、映画のチケットも買ったし、はいろっか。ポップコーンとか飲み物いる?」

秋「ううん、いらない」

夏「そう? それじゃ映画の前にちょっとお手洗い行ってくるから待っててくれる?」

秋「はーい。ここで待ってるね」

夏「すぐ戻るよ」

秋:ふはぁぁぁぁ……、夏姉の攻撃力高すぎるよぉ……。
後ろから抱きしめられて顎クイってされるし、前から抱きしめられてキス顔されるし、
王子様みたいに手の甲にキスするし、最後にはほっぺたにちゅうされるし……。
うぁぁぁぁ、思い出したらまた恥ずかしくなってきたぁ……。
……って、あれ? なんで目の前に男性の方が……?
あれ? あれ? もしかして、私今、ナンパされてる……?

秋「あの、すいません、あの、その……」

夏「お兄さん、悪いんだけどさ、この子はアタシのだから。ほかあたってくれる?」

秋:お姉さまぁぁぁぁぁぁあああ!!!! かっこよすぎぃぃぃぃ!!!
そんなん惚れてまうやろぉぉぉぉ!!!

夏「ごめんね、秋。遅くなっちゃって」

秋「え、あ、ううん、全然、待ってないですよ!?」

夏「ちょっと目を離した隙に悪い虫にちょっかいかけられるなんて。秋はいけない子だね」

秋:あはぁぁぁぁぁぁ、いけない子でごめんなさい、お姉さまぁぁぁぁああ!!

夏「さあ、もうすぐ映画始まるよ。ほら、いこう」

秋:また手握ったああぁぁぁぁぁ!! ほらあぁぁぁぁ、ほらぁぁぁああ!!
お姉さまは私を落とす気なんですか!? そうなんですか!?
もうとっくにお姉さまにおとされてますからああぁぁぁぁ!!
オーバーキルですからああぁぁぁ!!

 

カフェにて

夏「なかなか面白かったね、さっきの映画」

秋「そ、そうですね」

夏「どうしたの? 秋」

秋「夏姉、映画中ずっと私の手握ってるんだもん……」

夏「いやだった?」

秋「い、いやじゃなかった、けど……」

夏「ほら、今日は秋とデートだしさ。ね?」

秋:ね? って、なんでそこでウインクとかさらっとしちゃうんですかぁぁぁぁあ!!
ドキってするじゃんかああぁぁぁ!! ねえぇぇぇ!!

夏「ぼうっとしてるとパフェとけちゃうよ?」

秋「あ、そ、そうだった。うわ、やばいやばい……」

夏「アタシもちょっとほしいな」

秋「じゃあ、店員さんにもうひとつスプーンたの」

夏「あーん」

秋「うぇ!?」

夏「食べさせて」

秋「え、ちょ、夏、姉?」

夏「あーん」

秋「う、うぅぅぅぅ……、あ、あーん」

夏「ん、甘くておいしいね」

秋:照れる照れる照れる照れる照れる!! 絶対今、顔赤くなってる!!

夏「あ、秋、クリームついてるよ。ほら、とれた。ペロ」

秋:はい、死んだー。今、間違いなく死んだー。殺されたー。萌え殺されましたよー。
なんなの? 夏姉、本気で私のこと落とそうとしてない!?

夏「秋? 秋? 大丈夫?」

秋「ふぇ、あ、うん。大丈夫大丈夫。あー、パフェおいしいなー」

夏「くす、さくらんぼもらっていい?」

秋「え、うん、いいよ」

夏「んじゃ、ぱく……。ん~? もごもご……、んー……んっ」

秋「あむあむ……。んー、おいしい……」

夏「……ん、んぅ……」

秋「な、夏姉、なんでそんな悩ましい声をだしていらっしゃるんですか?」

夏「ん、ふぇひた(出来た)。ほら、さくらんぼの茎、結べた」

秋「夏姉って昔からそれ得意だよね」

夏「まあね。ほら、これ出来るとキスがうまいって言うじゃない?」

秋「ふはっ!?」

夏「とはいっても、まだ試したことないんだけどね。本当にうまくなってるのかな?」

秋「さ、さあ? どうなんだろうね」

夏「ねえ、秋、……試してみない?」

秋「え、ちょ!? た、試すってなにを……?」

夏「舌を絡めるような、キス……」

秋「にょ!?」

夏「くすくす、冗談だよ」

秋「~~~!!! はぐはぐはぐっ!! ご、ごちそうさま!!
ちょ、ちょっとお手洗い行ってくるね!!」

夏「はーい、いってらっしゃい」

秋:あああああああぁぁぁぁぁ、もう!! もう!! なんなの!?
試すってなに? 試していいよって言ったら試してくれたの!?
いや、でも、それは……。
あああぁぁぁぁぁ、私はどうしたらよかったのぉぉぉ!?
夏姉ってやる時はやる人だし、もしかしたら……。
うひゃああああああああ!!

 

夏「くすくす、秋はほんと可愛いなぁ。
ほかの子も可愛いけど、やっぱり、秋が一番可愛いよ。
さっき、冗談、なんて言わない方がよかったかな。
いや、でも、それで秋にひかれても困るし……。
……にしても、さっきの秋、顔真っ赤にして可愛かったなぁ。
今度、逃げられないようにして、奪っちゃおうか。
本当にキス、うまくなってるのかな。これで、秋を落とせるかな……」

 

つづく

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