傭兵と吸血鬼

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登場人物

配役(2:0:0)

傭兵:

吸血鬼:

傭兵と吸血鬼

~廃墟と化した城の地下~

SE:ドン!!(銃声

A「くそったれ、銃もきかねえのかよ……。
噂は本当だったってことか?」

B「ふむ……。人間、私が何者であるか分かっているようだな?」

A「信じたくはねえけどよ、あんた、吸血鬼ってやつだろう?」

B「吸血鬼と分かっていながら、鉛玉で私を殺そうと思ったのか? 銀の弾丸も用意せずに?
随分と舐められたものだ……」

A「っ!! 消えた!?」

B「なに、少し闇に溶け込んでみただけさ。
これくらい夜の王である私にならば造作もないことだ」

A「……なるほど、声がそこらじゅうから聞こえるのは隠れているわけじゃなく、
言葉通り、闇に溶け込み、一体化してるってことか……」

B「見かけによらず、頭の回転は早いようだな」

A「お褒めにあずかり光栄だね。ついでに、見逃しちゃくれないか?」

B「数百年ぶりの目覚めで私はとても渇いているんだ。それも、どうしようもなく。
それに、私を目覚めさせたのは、人間、お前だろう?」

A「おっかねえなぁ。
本当に吸血鬼が眠っているだなんて思ってもいなかったんだ」

B「その口ぶりから察するに、どうやら私以外の吸血鬼は皆、やられたようだな。
なんとも平和な世界になったものだ」

A「あぁ、そうとも。あんたが眠っている間に世界は気持ち悪い速度で進化したんだぜ?
例えば、何百年も寝ていたあんたはフラッシュバンなんて見たことないだろう?」

SE:バン!!!(フラッシュバン)

B「ぬっ!?」

A「見たら目ん玉つぶれるけどな!」

SE:ダダダ(傭兵逃げる)

B「……おもしろい。魔術とはまた違った力だ。
なるほどなるほど、あの男の言っていたとおり、私が眠っている間に世界は変わってしまったのだな。
ククク、ハハハハハハ!!! 素晴らしい!! 素晴らしいぞ!!
生きることに飽いた私でも、この世界ならば楽しめそうだ!!」


~城から離れた森の中~

A「ひゅぅ、おっかねぇ。
マジモンのバケモンじゃねえか……。
あんなもん、命がいくつあってもたりねえよ。
さぁて、とりあえず逃げることはできたが、これからどうするかねぇ」

B『逃げるがいい、人間よ。今宵の私は機嫌がいい』(声だけ)

A「っ!! 本当に夜はあんたの世界なんだな……。
なら、俺はありがたく逃げさせてもらうぜ。
旦那の邪魔はしねえよ」

B『人間、じきに世界は夜に染まるぞ。
その時、お前はどうする?』

A「部屋の隅で十字架もってガタガタ震えてるさ。
旦那に歯向かうつもりはねえな」

B『殊勝な心掛けだな。なに、お前は私を目覚めさせてくれた。
その礼に殺さずにおいてやる』

A「そりゃありがてぇ……」

B『ククク、殺意が漏れてるぞ? 隠すならもっとうまく隠すことだ』

A「……俺は世界を救うなんて大層なことは言わねえがな、
旦那、あんただけは俺が必ず殺してやる。
俺が狩人として、あんたを狩り殺してやる」

B『ほう、面白い。ならば、私はその日を心待ちにしていよう。
じきに夜が明ける。さあ、逃げろ、猟犬。
牙を磨いて私を狩りに来い』

~吸血鬼の気配が消える~

A「やってやる、やってやるよ、畜生め……」

 

おわり

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