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Vanitas City Ep.doll,hole,all. SIDE SnakeNest

登場人物紹介

スティング
40代。人間離れした青い美しい瞳を持つ元殺し屋。

キティ
10代半ば。エメラルドのような緑の瞳を持つ少女

スネイク(男女どちらでも)
年齢不詳。全身に蛇の鱗のタトゥー、左目は蛇の目のような義眼、舌はスプリットタン。
蛇に異常なほどの執着を見せる、何でも屋の店主

ゼペット
年齢未設定。60代オーバー?
ドールハウスの支店長だが、オーナーの顔を見たことはない。

配役表
スティング:
キティ:
スネイク:
ゼペット:

☆スペシャルサンクス☆ 篠崎マーティ(レンガ)様、関野あず様

Vanitas City Ep.doll,hole,all. SIDE SnakeNest

スネイク:ヴァニタスシティ、この街に夢や希望といったそんな上等なモノはない。
金と欲望が渦巻く、飢えた獣どもが闊歩するダークシティ。それがこの街。
そんな街の片隅にアタシは小さな店を構えている。
その名もスネイクネスト。
一歩足を踏み入れば、小奇麗なバーのようにも見えるが、それは表向きの仮の姿。
実際にはコンドームや隣人の浮気相手の情報からコカイン、移植用臓器、シリアルキラーの情報までなんでも取りそろえている所謂(いわゆる)何でも屋。
そんなアタシの店に来る客はどいつもこいつも一癖も二癖もある奴ばかり。
ほら、今日も厄介な客がやってきた。

スネイク:Vanitas City Ep.doll,hole,all. SIDE SnakeNest
(ヴァニタスシティ エピソード、ドール、ホール、オール。サイドスネイクネスト)

分厚いドアを開けて、スティングがキティの腕を引っ張って店に入ってくる

キティ「はな、離せって、おっさん。いったい、なんのつもりだよ!?」

スティング「邪魔するぞ」

スネイク「あぁら、誰かと思ったらスティングじゃないの。5年ぶりくらい? あんたまだ生きてたのね」

スティング「あぁ、こうしてピンピンしてるさ。足もちゃんとあるだろ? まあ、ちょいとばかり老けたがな」

スネイク「そうね。でも、今のほうが5年前よりも色気があって素敵よ」

スティング「ふん、そう言われると老けるのも悪くないな」

キティ「こんなとこに連れてきて、今度は何だよ、おっさん」

スネイク「あら、見かけない子ね」

スティング「あぁ、さっき拾ってきた」

スネイク「拾ってきたって……。子猫のようには見えないけど?」

スティング「俺にとっちゃ子猫みたいなもんだ」

キティの頭をなでるスティング

キティ「子ども扱いすんな!」

スネイク「威勢のいい子ね。それで、子猫ちゃんを拾ったからアタシのところに5年ぶりに顔を見せに来てくれたってこと? ペット自慢でもするの?」

キティ「子猫でも、ペットでもない!」

スティング「久しぶりにお前に頼みたいことがあってな」

スネイク「5年ぶりにやってきたと思ったらこれよ。まぁた厄介ごとでしょ? 相変わらず所かまわず首を突っ込みたがるんだから」

スティング「女のまたぐらにもな」

キティ「さっきから無視すんな! ここってなんなんだよ!」

スネイク「うるさい子猫ちゃんねぇ」

スティング「まだ躾もなにもしてないからな」

キティ「っ!!」

スティング「ここはスネイクネストっていう何でも屋だ。こいつに言えばなんだって揃えてくれるし、聞けばなんだって答えてくれる魔法のランプみたいなもんだ。まあ、金はかかるがな」

キティ「スネイクネスト? 何でも屋? ただのバーにしか見えないけど……」

スネイク「カモフラージュに決まってるじゃない。まあ、バーも経営してるから、お酒とかもあるけど。ミルクでも飲む? 子猫ちゃん」

キティ「いらない」

スネイク「そ? それじゃ、ついでに自己紹介もしておこうかしら。アタシはスネイク。ここの店主。よろしくね」

キティ「っ!? あんた、その左目!?」

スネイク「あぁ、これ? お洒落でしょう? 蛇の目みたいで。でも、残念ながら、義眼なのよね」

スティング「なんでもこいつは蛇になりたいんだと。だから、全身蛇の鱗みたいなタトゥーを入れてるし、わざわざ自前の目玉をくりぬいて、蛇みたいな義眼をはめてるし、それに舌もちょん切ってやがる」

キティ「義眼にするために目玉をくりぬく……? 舌をちょん切る……?」

スネイク「ほぉら、これぇ」(舌を見せる)

キティ「ひっ!?」

スネイク「スプリットタンっていうの。蛇みたいでしょ」

キティ「気色悪いもん見せるな!」

スネイク「躾のなってないガキね。それで、あんたの名前は?」

スティング「そういや、俺も聞いてなかったな」

キティ「……」

スネイク「なに? 名乗りたくない? じゃあ、あんたはキティね」

キティ「は!? だから、子猫じゃない!」

スネイク「だって、呼び名がないと不便じゃない」

キティ「ニーナ、ノーラ・アーヴィングだ! 二度とキティなんて呼ぶな!」

スネイク「ニーナね。いい名前じゃない、キティ」

キティ「だから、キティって呼ぶな!」

スネイク「それで、スティング。5年ぶりにやってきて、アタシに何を頼みたいっていうの?」

キティ「あ、おい! ~~~っ!」

スティング「こいつの情報をくれ」

スネイク「なに? カード……? ふぅん、そういうこと。スティング、キティは拾ってきたんじゃなかったの?」

スティング「あぁ、拾ってきたさ。持ち主はどこにもいなかったぜ?」

スネイク「あっそ。確かにこのカードの情報は持ってるけど、ここ、お得意様なのよね。アタシ、怒られないかしら?」

スティング「なぁに安心しろ。――怒られないようにしてやるよ」

スネイク「……あんた、もう殺しはしないんじゃなかったの?」

キティ「殺し!?」

スネイク「なに驚いてんの。あんた、まさかこいつが誰なのか知らずについてきたの?」

キティ「……知らない。攫われそうになったところを、急におっさんが助けてくれて、ここに……」

スネイク「へぇ、かっこいい。まるで、ヒーローみたいねぇ、スティング」

スティング「……黙れ、ジェイク」(女性の場合、キャシー)

スネイク「本名で呼ばないでよ。にしても、スティング、キティみたいな女の子が攫われるなんてこの街じゃ日常茶飯事じゃない。急にどうしたの? ヒーローなんて似合わないわよ?」

スティング「……キティの瞳に、やられちまったんだ」

スネイク「キティの瞳? あら、綺麗な緑の瞳ね。……いえ、これは綺麗すぎるわね。もしかして」

スティング「あぁ、俺と同じだ。この瞳とな」

サングラスを外すスティング

キティ「海みたいな、深い青の瞳……」

スネイク「ちょっとスティング、その目を見せないで! 惚れそうになっちゃうでしょ!?」

サングラスをかけなおすスティング

キティ「おっさん……、ううん、スティング。どういうこと?」

スティング「俺たちみたいな人間離れした鮮やかな瞳はジュエルって界隈じゃ呼ばれててな、同じ大きさの宝石と同じ、いやそれ以上の価値がある。ハイウエストに住んでいる悪趣味な奴らからすりゃ、喉から手が出るほど欲しい代物だ」

キティ「それで、アタシは攫われそうになったってこと……? でも、どうしてスティングが」

スティング「その瞳を見ちまったからな。ジュエルは魔性の瞳とも呼ばれていてな、お前の瞳に魅了されちまったのかもな」

キティ「……。もう一度、スティングの目を見せて……」

スネイク「ちょっとちょっと!! いい空気のところ悪いんだけど、アタシを置いてイチャつかないでちょうだい!」

キティ「あ、ごめん、スネイク……さん」

スネイク「はぁ……、別にスネイクでいいわよ。スティングの瞳もあんたと同じ魔性の瞳なの。初心な子猫ちゃんには刺激が強すぎたかしら?」

キティ「うるさい」

スネイク「まったくもう……。えーと、それでどこまで話したかしら? スティングが何者かって話だっけ?」

キティ「ううん、いい。スティングが何者でもかまわない」

スネイク「あ、そう。スティングも罪な男ね。こんな年端もいかないキティをたらしこんで」

スティング「うるせえぞ、スネイク。それで、そのカードの情報は売ってくれないのか?」

スネイク「怒られる心配がなくなるんなら、別に売ってもいいわよねぇ。3?」

スティング「2.5」

スネイク「んもう、2.8」

スティング「わかった、それでいい」

キティ「……それって桁はいくつなの?」

スネイク「知りたぁい?」

スティング「お前は知らなくていいことだ」

キティ「……なにも聞かなかったことにする」

スティング「いい子だ。それで?」

スネイク「このカードはドールハウスっていう高級娼館の会員証よ」

スティング「ほう」

スネイク「本店はハイウエストにあるんだけど、このカードはゼペットの店のものね」

キティ「ゼペット?」

スネイク「ドールハウスの支店長の名前。ほかにもコッペリウスとかいるわね」

スティング「場所は?」

スネイク「ゼペットのドールハウスは、エミリーストリートからダニエルストリートに入ってネット3つ目の近く」

スティング「あのあたりか。他にもなにか情報はあるか?」

スネイク「そうね……」

店の電話がなる

スネイク「あら、ちょっとごめんなさい。ハロー? スネイクネストよ」

ゼペット「ゼペットだ。今日お前んとこで下準備してもらう予定だったジュエルなんだがよぉ、うちの糞間抜けのせいで逃がしちまった。わりぃが、キャンセルしてくれ」

スネイク「あらら、OK。ついてないわね」

ゼペット「明日にでもその糞間抜けを連れていく。捌いてくれるか」

スネイク「それってオールナッシングでOK?」

ゼペット「YES。髪の毛一本、血液一滴に至るまで全てだ」

スネイク「はーい、了解」

ゼペット「それと、お前んとこにジュエルの情報が入ってきてねえか?」

スネイク「ジュエル? 何色?」

ゼペット「エメラルドグリーンのように輝く緑だ」

スネイク「ふぅん……、残念だけど、まだ入ってないわね。仕入れたら連絡するわ」

ゼペット「あぁ、頼む。代金はいつものでいいか?」

スネイク「えぇ、スペルマエッグでいいわよ」

ゼペット「気味悪い野郎だ。まあ、こっちは助かるがよ」

スネイク「うふふ、どのくらい育ってる?」

ゼペット「今は1か月が3人だな。4か月が1人いるがいるか?」

スネイク「それは育ちすぎ。アタシってグルメなの」

ゼペット「へっ、そうかよ。残りは1でいいか?」

スネイク「卵3つは少なすぎ。1.5」

ゼペット「卵のストックじゃだめか?」

スネイク「ちょっと今、入り用なのよ」

ゼペット「わかった。1.5だ。お前のことは買ってるからな」

スネイク「あら、ありがと。でも、まけてあげない」

ゼペット「ふん。そっちも明日にするか?」

スネイク「3日後にしてちょうだい」

ゼペット「わかった。3日後にそっちによこす。その代わり」

スネイク「えぇ、ジュエルの情報をゲットしたら連絡するわ」

ゼペット「頼んだぜ」

電話を切るスネイク

キティ「い、今のって……」

スネイク「さっき話してたゼペットよ」

キティ「最初から知ってて、話してたんだ……」

スネイク「ばれちゃった」

スティング「売らなくてよかったのか?」

スネイク「あんたに穴を開けられるなんてまっぴらごめんよ。それに、スティングに目をつけられたんじゃ、ゼペットに先はないもの」

キティ「だから、後払いになるようなことは受けなかった?」

スネイク「そういうこと。毟れる時に毟っておく。常識よ? 覚えておきなさい」

キティ「わかった」

スティング「何を教えてるんだか」

スネイク「ねぇ、スティング、これでアタシも引き返せなくなっちゃったわ」

スティング「安心しろよ、ベイビー。俺がヘマしたことがあったか?」

スネイク「ないわね。それにしても、卵もしばらくおあずけかぁ……」

キティ「スネイク……、さっき4か月とか育ちすぎとか言ってたけど、スペルマエッグってもしかして……」

スネイク「んふふー、知りたいぃ?」

キティ「知りたくない! ぜんぜん、これっぽっちも!!」

スティング「言ったろ? コイツは本当に蛇になりたいんだ」

スネイク「蛇と言えば、丸呑みよねぇ」

キティ「……あー、もう!! 想像しちゃったじゃないか!! おえぇぇ、最悪……」

スネイク「それでドールハウスの情報だけど、このカードを見せたらこう尋ねられるの。『doll? hole? all?』って」

キティ「ドール、ホール、オール?」

スネイク「ドールはドールハウスのオーナーご自慢のビスクドールって呼ばれるファック禁止の高級娼婦」

キティ「ビスクドールって?」

スネイク「羽根を縫い付けたり、宝石を埋め込んだりしたオーナーお手製の子達のことよ。前に見たことがあるけど、本当に天使や妖精かと思うくらい人間離れした美しさをしていて、まさしく芸術品って感じだったわね。ちょっと趣味が悪いけど。ジュエルの瞳を移植してる子もいたわ」

スティング「胸糞悪い話だ」

スネイク「ホールは普通の娼婦。トップ、フロント、バックとか言われてたかしら? ブロウ専門の子は、歯を全部抜いてあるそうよ?」

キティ「女をなんだと思ってんだ」

スネイク「まあ、文字通りホールでしょうねぇ」

スティング「それで、オールは?」

スネイク「生死問わずのなんでもあり」

キティ「なんでも……?」

スネイク「芋虫に、ドラッグ、屍姦に食人。なんでもあり」

キティ「おえ……」

スティング「……なるほど。それでゼペットに近づくにはどうしたらいいと思う?」

スネイク「さっきのやりとり聞いていたでしょう? それを利用するのはどうかしら?」

スティング「キティのジュエルか」

キティ「アタシを餌にするってこと?」

スネイク「ゼペットが欲しいのはキティの瞳だけよ。いいものがあるわ。ちょっと待ってて」

スティング「なんか隠し玉でもあんのか?」

スネイク「えぇ、とっておきのがね。えっと、あった。これを使うのはどうかしら?」

薬品の入った瓶の中にはキティと同じ緑色の目玉が入っている

キティ「こ、これって……アタシと同じ色の目玉……」

スティング「スネイク? holeがお望みか?」

スネイク「そんなわけないでしょ。これはただの義眼よ。フェイク」

キティ「……本物にしか見えない……」

スネイク「そりゃあ、ドールハウスのオーナーを騙して売りつけてやろうと思って作った特注品だもの。
まあ、でも、使わなくてよかったわ。キティの瞳と比べたら全然だもの」

スティング「それでも、餌にはなるか」

スネイク「きっとね」

スティング「で、そいつはいくらなんだ? 指が足りればいいんだがな」

スネイク「お代のかわりにひとつお願いを聞いてくれないかしら?」

スティング「……聞くだけ聞いてやる」

スネイク「そんな構えないでよ。ねえ、キティ、あんた行くあてあんの?」

キティ「行くあてってどういうことだよ……」

スネイク「もしかして、家に帰れるとでも思ってるの? ふふふ、そんな甘ちゃんじゃこの街じゃ生きていけないわよ? それに、またいつどこで攫われるかわかったものじゃないし」

スティング「おい、スネイク」

スネイク「ねえ、スティング。あんたがこの子を守ってあげて。子猫を拾った責任、果たしなさいな。飼い主さん」

スティング「はぁ……。……マルボロくれ、スネイク」

スネイク「あら? 煙草やめたんじゃなかったの?」

スティング「仕事をやめた時にな。そして、また始める。だから、吸うんじゃねえか」

スネイク「ふふふ、はい、どうぞ」

キティ「スティング……?」

スティング「スゥー……、フゥー……。キティ、俺とくるか?」

キティ「……いいの?」

スティング「あぁ。拾っちまったもんはしょうがねえ。スネイク、これでいいんだろ?」

スネイク「えぇ、いいわ。あと、たまには顔見せにきなさい。キティと一緒に」

スティング「分かったよ。悪いがフェイスに連絡いれといてくれ」

サングラスを外し、捨てるスティング

スティング「5年ぶりに街に穴をあけるってな」

スネイク「ん~~~、ゾクゾクしちゃう。ほんと濡れちゃうくらいカッコイイんだから。ねえ、キティ」

キティ「うん、カッコイイ……」

スティング「スネイク、アレ準備しておいてくれるか」

スネイク「はいはーい。まかせてちょうだい。どこのハウス?」

スティング「エミリーのケツだ」

スネイク「OK。3日後に卵がくるから、4日目にゼペットに連絡いれるわよ?」

スティング「あぁ、それでいい。3日で錆を落としておく。行くぞ、キティ」

キティ「あ、うん! スネイク、ありがと」

スネイク「どういたしまして、子猫ちゃん。生きてたらまた会いましょう」

キティ「スティングに守ってもらうからまた会えるよ。バイ」

スティングとキティ、店から出ていく

スネイク「ふふふ、自分がスティングのアキレスヒールになったことも知らずに嬉しそうにしちゃって……」

スネイク:ディスカードを未練がましく思うのは三流のすること。
それよりもドロウしてきたスペードのジャックをどんなハンドに仕上げるか。
ストックはまだまだある。
ねえ、スティング。まずは、このVanitas City(テーブル)に大穴をあけてくれる?
アタシがVanitas City(ジャックポット)を丸呑みにするために。

 

つづく

この記事を書いた人
書上トモ

仮面夫婦の夫。動画作成や別名義で声劇台本やセリフを書いている。
最近、煙草をやめるように妻に言われて、禁煙をしてはまた吸ってしまう日々を繰り返している。
別名義:モモチヨロズ。ツイキャスやボイコネ、スプーンに現れる。
声劇歴だけは異常に長い。

声劇台本
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仮面夫婦の仮面の中
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